福島県いわき市 2007年 起業 橘 あすか
株式会社福島インフォメーションリサーチ&マネジメント代表取締役
PROFILE

1981年生まれ。福島高専を卒業後、建設コンサルタント会社に入社。のちに社会調査を行う『株式会社福島インフォメーションリサーチ&マネジメント 』を立ち上げる。現在、社内で働らくスタッフは全員女性。仕事と育児を両立しやすい環境の整備にも努め、同社はいわき市の女性活躍推進企業に認定された。

行政の市民意識調査などの社会調査を行う株式会社福島インフォメーションリサーチ&マネジメント(FIRM)は、起業した社長をはじめ、社員全員が女性という会社。

「会社としてのターニングポイントに頼れる人の数が、地方は圧倒的に違うと思います。そういう深い信頼関係をクライアントさんと築けるのが東北の良いところだと思います」。同社代表取締役の橘あすかさん(37)は、その信頼関係を同社で支えてきたのが、女性たちの力だという。

女性の気配りで事業領域を拡大

行政の市民意識調査や、観光客に対しての意識調査といった社会調査を行う同社のメンバーは、現在全て女性で、これまでもほぼ女性ばかりだったという。同社の事業を「クライアントの伴走型サービス」と位置づける橘さんだが、その実現には女性メンバーの行き届いた気配りが活きているという。

「私は(経営者として)先方の代表と直接繋がることで相手の気持ちを汲み取りやすい立場にあるんですけど、普通は社員にそれと同じレベルで先方の経営者や営業の方と接してくれと言ってもなかなか難しい。相手の気持ちを汲み取って伴走するのはすごくハードルが高いと思うんですけど、ウチの女性メンバーは1を言ったら気を回して10をやってくれるんです」

社会調査事業から始まった同社だが近年、クライアントから全く専門領域ではなかった仕事の相談まで受けるようになった。その要望に応えるように、ターゲット分析から派生した広報やデザイン、イベントや商品開発の企画立案などの事業を展開。女性メンバーの気配りが醸成したクライアントとの深い信頼関係が、実績がなかった新しい領域の仕事の獲得にまでつながっているのだという。

女性が働きやすい職場の環境を作る

同社の女性メンバーのほとんどが子育て真っ最中。起業して初めてメンバーに子どもができた時は動揺し、育児休暇付与にも葛藤があった橘さんだが、今では柔軟に対応できるようになり、女性たちが働きやすい環境づくりを心がけている。

「一年休みたいと言われても、3ヶ月くらいにしてくれないかなと最初は思ったんですけど、今は『全然いいよ、その代わり、大変な時は手伝いにきてね』みたいな感じで考えられるようになりました」

メンバーの子どもが熱を出して会社へ来れないという場合でも、在宅勤務を無条件で許可。必要があれば、在宅のメンバーと出勤中のメンバーが連絡を取り合い、フレキシブルに業務に対応する。

こうした職場と家庭を横断する強いチームワークが社内にできているのは、月一で行う「ママ友ランチ会」等の取り組みによって、メンバーそれぞれが職場の仲間としてだけではなく、子育ての悩みを共有するママ友としてもコミュニケーションを深めているからだ。

心がけているのは、制度を作ることだけではなく、職場に来れないメンバーが「申し訳ない」と思うような心理的なハードルを無くし、コミュニケーションを円滑にすること。女性が活躍できる環境を「制度面」と「意識面」で整えることが、同社の成長につながっているのだろう。

地方でも仲間と繋がれたことが大きな財産

「同じ若手の女性経営者として相談できる人がゼロだったので、寂しかったですね」。飲食店やエステなどのBtoC以外のビジネスで、起業する若手の女性経営者が周りに全くいなかったという橘さん。地方で事業を継続・拡大していく中で、男性社会の壁もなかったわけではない。

それでもいわき・福島に根ざして事業を続けるのは、クライアントの先にいる地元の人たちの生活をボトムアップしたいという思いと、肌感覚で地域の動向を感じることができる地の利があるからだという。

「調査業務でも、クライアントさんの先にいる市民の皆さんを想定しながら質問の設計をできないといけないんです。市民の皆さんのことを感じるには、やっぱり地元密着というのは大きいです。社会動向・経済動向を見るに当たっても、それを数字で見る以外に肌で実感することができるので、営業戦略が立てやすいですし、事業の実行もしやすいですね」

11年間の経営経験を経た経営者として強調したのは、起業段階で有益な情報を得ることがその後の会社の成長に大きく影響するということ。橘さんはこれまでも、仙台などで開催される起業家仲間との勉強会に参加してきた。そこで、課題やお互いのノウハウを共有できる仲間と繋がれたことが大きな財産となっているという。

 

「同じ環境で相談したり情報共有できる仲間と繋がるというのはものすごく大事だと思います。メンターの方に教わったことも、そもそも彼らとは格が違うので、それを自分のところにどうやって落とし込むかという時にも相談できる仲間がいると違うと思います」。そのような場として、「TOHOKU REBUILDERS」を活用してほしいと橘さんはいう。

橘さんは、同じように東北で起業を目指す女性起業家には、こうアドバイスをする。「上手くいかなくてもそれで死ぬわけではないので、果敢に挑戦!までしなくても、ゆっくりとでも歩いていれば前には進むと思います」。

PROFILE

1981年生まれ。福島高専の土木部を卒業後、建設コンサルタント会社に入社。人材派遣の会社に社長として引き抜かれるも、その話が流れたことで本来自身が何をやりたかったのかに立ち戻り、建設コンサルで行った地権者への聞き取りの経験をベースに、社会調査を行う『株式会社福島インフォメーションリサーチ&マネジメント 』を立ち上げる。

以降11年、地元いわきで信頼を積み重ね、事業を継続、拡大。現在、社内で働らくスタッフは全員女性。仕事と育児を両立しやすい環境の整備にも努め、同社はいわき市の女性活躍推進企業に認定された。

INTERVIEW他のインタビュー

  • 「地域に迎合するのではなく
    オリジナリティを保つ」
  • 地方ではいざという時に頼れる人の数が違う。
  • 「鶴岡に来たことが
    一番正しい経営判断だった」

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